京都の観光旅行ガイド
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上賀茂神社

かみがもじんじゃ

上賀茂神社は、正式には賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)と呼ばれます。上賀茂神社を上社、下鴨神社を下社として、両社を総称して賀茂社と呼びます。平安遷都の際、桓武天皇が行幸して以来、王城鎮護の神として崇められています。毎年5月15日に行われる葵祭は、京都の三大祭の一つとして有名です。1994年(平成6年)には、世界文化遺産に登録されました。


上賀茂神社はもともと、この地域に勢力を持っていた賀茂氏の氏神であり、農耕の神として祀られていました。後に正一位の神階を授かり、伊勢神宮に次ぐ高い地位を得ました。上賀茂神社の北側約2キロの場所にある神山(標高301.5メートル)は、神社の旧鎮座地であり、現在は禁足地となっています。祭礼としては、葵祭のほか、5月5日の競馬(くらべうま)や9月9日の烏相撲(からすずもう)が知られています。歴史上、多くの武将が参詣し、所領を寄進しましたが、中でも徳川家康からの信仰が篤かったとされています。

正式名称賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)
祭神賀茂別雷大神(かもわけいかづちおおかみ)
所在地〒603-8047 京都府京都市北区上賀茂本山339
問い合わせ075-781-0011
開閉門時間午前5:30~午後5:00(神事等により変更の場合有り)
拝観時期一年中
参拝料金-
見学時間の目安約60分
参拝順路特になし
アクセス京都市バス「上賀茂神社前」下車(4・46系統)、「上賀茂御園橋」下車(9・37系統)、「御園口町」下車(北3系統)
駐車場通常 午前6:00~午後10時(出庫は24時間可能)
繁忙日 入庫時間:午前9:00~午後4:00 出庫時間 午後5:00まで
駐車場料金通常 30分200円、繁忙日 1,000円/回
ご利益厄除、方除、雷除、災難除
地図

上賀茂神社の見どころ

上賀茂神社の見どころとしては、まず国宝に指定されている本殿と権殿が挙げられます。どちらも神聖な建物で、一見の価値があります。また、神山を象徴する立砂は、神聖な儀式に使われる円錐形の砂で、神社のシンボルともいえる存在です。舞殿は川の上に建てられており、葵祭などの大切な行事がここで行われます。境内を流れる御手洗川とならの小川も魅力的で、夏越の祓といった神事が行われる神聖な場所です。さらに、片山社は縁結びや安産のご利益があることで知られ、多くの方々に親しまれています。

一の鳥居
いちのとりい

1918年(大正7年)に造営されたものです。

御所桜
ごしょざくら

元は京都御所にありましたが、幕末に皇女和宮が徳川家茂に嫁ぐ際、孝明天皇から下賜され、上賀茂神社に奉納されました。

外幣殿(馬場殿、御所屋)
げへいでん(ばばでん、ごしょのや)

法皇や上皇の行幸や、摂関の賀茂詣の際に使われた着到殿(ちゃくとうでん)です。賀茂競馬の際に奉行が座って馬場を見ることから「馬場殿」とも呼ばれ、また、葵祭の際に天皇の勅使が走馬を見ることから「御所屋」とも呼ばれます。重要文化財に指定されています。

神馬舎

二の鳥居
にのとりい

現在のものは、1951年(昭和26年)に造営されたものです。

楽屋
がくのや

一切経楽屋とも呼ばれ、神仏習合時代には僧侶がここで一切経を読経していました。

拝殿(細殿)
はいでん(ほそどの)

1708年(宝永5年)、東山天皇が行在所(あんざいしょ)として使用しました。1863年(文久3年)3月11日には、孝明天皇が攘夷祈願の際に着到殿として使用しました。毎年9月9日に行われる烏相撲では、拝殿の前庭に土俵が設けられ、葵祭の斎王代がこの社殿から相撲を観覧します。

立砂
たてずな

「盛砂」とも呼ばれる円錐形の一対の立砂は、「たつ」が神の出現を意味する言葉に由来しています。円錐形は、祭神である賀茂別雷神が降臨した神山を表しています。頂にある松葉は、かつて神山から引いてきた松の木を立てて神を迎えていた名残とされています。鬼門や裏鬼門に砂を撒き清める風習は、この立砂の信仰が起源であり、「清めのお砂」の始まりです。

土屋
つちのや

床がないことが特徴です。かつては神主以下の「二十一職」と呼ばれる神職の着到殿として使われていました。現在は、祭典などの際に神職が祓(はらえ)を行う祓所(はらえど)として使用されています。

舞殿(橋殿)
まいどの(はしどの)

境内を流れる御手洗川の上に橋のように建っているため、「橋殿」とも呼ばれます。また、葵祭で勅使がこの社殿で祭文を奏上し、その後に東遊(あずまあそび)が舞われることから、「舞殿」とも呼ばれます。

禰宜橋
ねぎばし

舞殿の左側にある御手洗川にかかる橋で、神職が神前に向かう際に渡ります。細殿の近くにあります。

祝橋
ほうりばし

舞殿の右側にかかる御手洗川の橋です。土屋の近くにあります。

岩上
がんじょう

葵祭で宮司が神意を勅使に伝える返祝詞(かえしのりと)を奏上する場所です。

玉橋
たまばし

御物忌川に架かる橋で、通常は渡ることができません。

片山御子神社
かたやまみこじんじゃ

通称「片岡社(かたおかしゃ)」と呼ばれる第一摂社で、賀茂玉依姫命(かもたまよりひめのみこと)を祭神として祀っています。縁結び、子授け、安産のご利益があるとされています。

さらに詳しく

片岡橋(渡殿)
かたおかばし(わたどの)

玉橋の隣に架かる木造の橋で、片岡神社のそばにあることから「片岡橋」と呼ばれます。社殿のような唐破風造の屋根があるため、かつては「渡殿」とも呼ばれていました。

楼門
ろうもん

1628年(文久3年)に造替された丹塗りの門で、入母屋造りの檜皮葺です。

幣殿
へいでん

楼門を入って右手に位置し、かつては葵祭の際に神宝が並べられていました。

高倉殿
たかくらでん

楼門を入って左手の授与所の後ろに位置し、入母屋造の建物です。かつては倉庫として使われていましたが、現在は神宝を並べた展示場となっています。

中門
ちゅうもん

楼門を入って正面の石段を上った先にあり、通常はここで参拝します。

直会殿
なおらいでん

中門の左側にある社殿で、直会を行う場所です。

御籍屋
みふだなや

中門の右側にある社殿で、「御籍屋」という名前は、かつて社家の序列を記した札が掲げられていたことに由来します。現在は結婚式場などとして使用されています。

本殿
ほんでん

国宝で、三間社流造の建物です。現在のものは1863年(文久3年)に造営されたものです。御扉の左右には「影狛(かげこま)」と呼ばれる狛犬の板絵があり、かつては実際の狛犬が置かれていました。

権殿
ごんでん

本殿に準ずる仮の社殿で、かつては「渡殿」と呼ばれていました。式年遷宮での本殿造替や災害時などに、神体を臨時に奉安するための社殿です。本殿とともに1863年(文久3年)に造営されました。

神山
こうやま

上賀茂神社の北約2キロの背後に位置し、標高301.5メートルの神体山で、上賀茂神社の旧鎮座地です。賀茂別雷大神が降臨した場所とされ、現在は禁足地となっています。

北神饌所(庁屋)
きたしんせんしょ(ちょうのや)

神饌を調理する場所で、「庁屋」とも呼ばれます。明治維新までは、社家の氏人がここで寄り合いを行い、重要事項を決定する神社の運営を司る庁舎の役割も担っていました。

御手洗川(明神川)
みたらしがわ(みょうじんがわ)

上賀茂神社の御手洗の水です。女官・伊勢大輔が「一生のうちに秀歌を詠ませてください」と願をかけ、御手洗川の水を硯水として歌を詠んだところ、千首もの秀歌を詠んだとされています。このことから、願い水として信仰されています。

御物忌川
おものいがわ

片岡山の麓を東へ進み、岩本神社の背後を通って南へ折れ、「ならの小川」となります。

ならの小川
ならのおがわ

本殿の東側を流れる御物忌川と西側を流れる御手洗川は、橋本神社のそばで合流し、その合流点から南へ流れて上賀茂神社の境内を出るまでの川を「ならの小川」といいます。摂社の奈良神社の背後を流れることから、古くからこの名で呼ばれています。この川では夏越の祓が行われます。

須波神社
すわじんじゃ

摂社で、祭神として阿須波神(あすはのかみ)、波比祇神(はひきのかみ)、生井神(いくいのかみ)、福井神(さかいのかみ)、綱長井神(つなながいのかみ)の五柱を祀っています。片岡山には天正年間(1573~1592年)まで「よるべの水」を湛えた甕が3つあり、その守護神とされてきました。現在の社殿は1628年(寛永5年)に造営されたものです。

新宮神社
しんぐうじんじゃ

摂社で、祭神として高龗神(たかおかみ)を祀ります。「貴布祢神社」または「貴布祢」とも呼ばれます。

若宮神社
わかみやじんじゃ

摂社で、祭神として若宮神を祀っています。

賀茂山口神社
かもやまぐちじんじゃ

摂社で、田の神であり山の神でもある御歳神を祀ります。「沢田神社」とも呼ばれます。

渉渓園
しょうけいえん

1960年(昭和35年)に中根金作(なかねきんさく)によって作庭された曲水庭園です。以前は非公開でしたが、現在は常時公開されています。毎年4月の第二日曜日には、ここで曲水の宴「賀茂曲水宴」(かもきょくすいのえん)が行われます。

奈良神社
ならじんじゃ

境内の「ならの小川」の東、北神饌所のそばに位置する摂社で、神饌を司る神である奈良刀自神(ならとじのかみ)を祀ります。

橋本神社
はしもとじんじゃ

末社で、祭神として衣通姫(そとおりひめ)を祀っています。和歌や芸能の神として信仰されています。

川尾神社
かわおじんじゃ

末社で、祭神として罔象女神(みずはのめのかみ)を祀っています。御物忌川の守護神です。

山尾神社
やまおじんじゃ

末社で、祭神として大山津見神(おおやまつみのかみ)を祀っています。

棚尾神社
たなおじんじゃ

末社で、祭神として櫛石窓神(くしいわまどのかみ)と豊石窓神(とよいわまどのかみ)の二柱を祀っています。

土師尾神社
はじおじんじゃ

末社で、祭神として賀茂玉依比古命(かもたまよりひこのみこと)を祀っています。

杉尾神社
すぎおじんじゃ

末社で、祭神として杉尾神(すぎおのかみ)を祀り、林業の神として信仰されています。

岩本神社
いわもとじんじゃ

末社で、祭神として底筒男神(そこつつのおのみこと)、中筒男神(なかつつのおのみこと)、表筒男神(うわつつのおのみこと)の三柱を祀り、古くから歌人の守り神として信仰されています。

山森神社
やまのもりじんじゃ

末社で、祭神として素戔嗚神(すさのおのかみ)、奇稲田姫神(くしいなだひめのかみ)、田心姫神(たごりひめのかみ)の三柱を祀り、農神・疫神として信仰されています。

梶田神社
かじたじんじゃ

末社で、祭神として瀬織津姫神(せおりつひめのかみ)を祀ります。旧参道の入口に祓戸神として祀られています。

神山湧水珈琲 煎
こうやまゆうすいこーひー せん

神山から湧き出る湧水(神山湧水)で淹れたコーヒーをお楽しみいただけます。ホット・アイス共に500円です。

上賀茂神社の歴史年表

678年
(天武天皇6年)
創建される。
784年
(延暦3年)
桓武天皇が使いを遣わして社殿を修復させる。
807年
(大同2年)
正一位の神階を与えられる。
1036年
(長元9年)
二十一ヵ年式年造営が行われた。
1863年
(文久3年)
孝明天皇が攘夷祈願のため、将軍徳川家茂と一橋慶喜を従え、行幸する。
1868年
(明治元年)
明治天皇が王政復古の行幸する。
1960年
(昭和35年)
中根金作によって渉渓園が作庭される。

上賀茂神社の年間行事

1月1日(元旦):歳旦祭

1月5日:新年竟宴祭

1月7日:昭和天皇遥拝式並びに白馬奏覧神事

1月14日:御棚会神事

1月15日:御粥神事

1月16日:武射神事

初卯の日:初卯神事

2月3日:節分祭

2月3日:古神札焼上祭

2月11日:紀元祭

二番目の子の日:燃燈祭(乙子神事)

2月23日:天長祭

2月24日:さんやれ祭

3月3日:桃花神事

3月3日:流し雛

春分の日:春季皇霊祭遙拝式

4月1日:摂社・久我神社春祭

4月3日:神武天皇遥拝式並びに土解祭

4月10日:摂社・大田神社春祭

4月20日:末社・半木神社春祭

4月21日:摂末社春祭

4月21日:摂社・奈良神社春祭

4月第二日曜日:賀茂曲水宴

4月29日:昭和祭・植樹奉告祭

5月1日:賀茂競馬足汰式

5月4日:斎王代以下女人列御禊の儀

5月5日:賀茂競馬

5月12日:摂社内陣御掃除祭

5月12日:御禊

5月12日:御掃除祭・神御衣献進祭

5月12日:御阿礼神事

5月15日:賀茂祭(葵祭)

5月17日:献茶祭

6月10日:御田植祭

6月30日:水無月大祓引続き夏越神事

6月30日:夏越大祓

7月1日:御戸代会神事

7月1日:賀茂御戸代能

9月8日:烏相撲内取式

9月9日:重陽神事

9月9日:烏相撲

10月1日:安曇川献進祭

10月17日:神嘗奉祝祭

10月第三日曜日:笠懸神事

11月1日:摂社・久我神社秋祭

11月3日:明治祭

11月10日:摂社・大田神社秋祭

11月13日:相嘗祭

11月20日:末社・半木神社秋祭

11月21日:摂末社秋祭

11月23日:新嘗祭

12月9日:皇后陛下御誕辰祭

12月31日:大祓式

12月31日:除夜祭

上賀茂神社の周辺情報

神馬堂まで徒歩1分

大田神社まで徒歩10分

深泥池貴舩神社まで徒歩20分

京都市営地下鉄「北山駅」まで徒歩23分

京都府立植物園まで徒歩25分

参考

上賀茂神社公式ウェブサイト、京都の社寺、京都・山城 寺院神社大辞典、上賀茂神社へのいざない、上賀茂神社、コトバンク