宝鏡寺
ほうきょうじ

宝鏡寺は「人形寺」の名でも親しまれる、臨済宗の尼門跡寺院です。光格天皇ご愛用の品をはじめ、多くの貴重な人形を収蔵していることで知られています。創建当初は、尼五山第一位の景愛寺に属する塔頭・建福尼寺(けんぷくにじ)として建立されましたが、後に本尊にちなみ寺号を宝鏡寺へと改めました。
寺名の由来は、華林宮(かりんのみや)から寄進された観音像にあります。この観音像は伊勢の二見浦で漁網にかかった際、両手に宝鏡を携えていたと伝わり、その霊験により「宝鏡寺」と改められました。
後水尾天皇の皇女・理昌尼王(りしょうにおう、法名・久厳)が入寺して以降、宝鏡寺は尼門跡としての格式を高め、「百々御所(どどのごしょ)」の名で呼ばれるようになります。
寺宝としては、孝明天皇遺愛の御所人形として知られる「孝明さん」や、三折人形の「万勢伊(ばんぜい)さん」、その従者とされる「おとらさん」「おたけさん」、さらに宮中から贈られた雛人形など、多彩な人形が伝わっています。
また、かつてこの一帯には、足利義政と日野富子の夫妻が暮らした小川御所があったともいわれ、歴史の面影を今に伝える場所となっています。
| 正式名称 | 西山 宝鏡寺(せいざん ほうきょうじ) |
|---|---|
| 山号 | 西山 |
| 宗派 | 臨済宗 |
| 本尊 | 聖観音菩薩 |
| 所在地 | 〒602-0072 京都府京都市上京区百々町547 |
| 問い合わせ | 075-451-1550 |
| 参拝時間 | 10:00~16:00(15:30受付終了) |
| 拝観時期 | 春・秋の特別公開 |
| 見学時間の目安 | 30分 |
| 参拝順路 | 特に決められていません |
| アクセス | 京都市バス「堀川寺ノ内」(9、12、67系統)下車すぐ 市営地下鉄「鞍馬口駅」下車 1番出口 徒歩約11分 |
| 駐車場 | あり(2台) |
| 駐車場料金 | - |
| ご利益 | - |
| 地図 | |
|---|---|
宝鏡寺の見どころ
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大門
だいもん
大門です。

人形塚
にんぎょうづか
人形を弔い供養するために1959年(昭和34年)に建立されたものです。石碑には、京人形を象徴した御所人形の姿が彫り込まれています。さらに台座には、武者小路実篤による詩が刻まれています。
→ さらに詳しく

大玄関
おおげんかん
大玄関の前には金木犀(きんもくせい)、銀木犀、モチノキが植えられています。

本堂
ほんどう
前後3室からなる六間取方丈形式となっています。内部には本尊の聖観音菩薩が安置されています。また、狩野探幽の襖絵「秋草図」や河股幸和(かわまた ゆきかず)の襖絵「葡萄と鹿」があります。

本堂庭園
ほんどうていえん
本堂前の庭園には、上京区の「区民の誇りの木」に指定されているイロハモミジが植えられています。紅葉の時期にはイロハモミジの葉が真っ赤に染まり、庭園を一層美しく彩ります。

勅作堂(阿弥陀堂)
ちょくさくどう(あみだどう)
光格天皇勅作の阿弥陀如来像や後光厳天皇の皇妃である崇賢門院(すうけんもんいん)像、さらに日野富子像が祀られています。

書院
しょいん
円山応挙が手がけた「雉と子犬」を描いた杉戸絵をはじめ、円山応震(まるやま おうしん)筆による「四季耕作図」、吉村孝敬による「猿鳥鶴図」など、多彩な襖絵が伝わっています。

鶴亀の庭
つるかめのにわ
羽を休める鶴に見立てた池と、首を出した亀に見立てた築山が配置されています。また、皇女和宮が幼少期に一時滞在していたと伝えられ、和宮がこの庭でよく遊んだという逸話も残されています。

中庭
なかにわ
中庭には、八重散椿の品種「村娘」をはじめ、奈良八重桜が植えられており、季節ごとに可憐な花を咲かせています。
宝鏡寺の歴史年表
| 1278年~1288年 (弘安年間) | 無外如大尼によって景愛寺が創建される。 |
|---|---|
| 1368年~1375年 (応安年間) | 宮中に祀られていた聖観音菩薩が景愛寺塔頭・建福尼寺に奉納される。後光厳天皇から宝鏡寺の寺号を賜る。 |
| - (戦国期) | 応仁の乱の戦乱で景愛寺が焼失。以後、名跡は「前景愛寺第何世」という称号で残され、大聖寺と宝鏡寺の住持によって受け継がれていく。 |
| 1644年 (寛永21年) | 後水尾天皇の皇女・理昌尼王(りしょうにおう:久厳)が入寺。紫衣を勅許される。 |
| 1764年 (明和元年) | 「百々御所」の御所号を与えられる。 |
| 1788年 (天明8年) | 天明の大火で類焼。 |
| 1796年 (寛政8年) | 恭礼門院の遺命で素仏堂(現在の阿弥陀堂(勅作堂))を建立。 |
| 1827年 (文政10年) | 本堂が再建される。 |
| 1857年 (安政4年) | 1月~5月、皇女和宮が約5ヶ月間宝鏡寺で過ごす。 |
| 1957年 (昭和32年) | 第27世宝鏡寺門主花山院慈薫尼(かさのいんじくんに)が宝鏡寺に伝わる人形を一般公開する人形展をはじめる。 |
| 1959年 (昭和34年) | 人形塚が建立された。 |
宝鏡寺の年間行事
3月1日:ひなまつり
3月1日~4月3日:春の人形展
10月14日:人形供養
11月1日~20日:秋の人形展
宝鏡寺の周辺情報
光照院(こうしょういん)まで徒歩5分
三時知恩寺(さんじちおんじ)まで徒歩8分
大聖寺(だいしょうじ)まで徒歩13分
大徳寺(だいとくじ)まで徒歩16分
建勲神社(たけいさおじんじゃ)まで徒歩19分
参考
宝鏡寺公式ウェブサイト、京都大辞典、京都・山城 寺院神社大辞典、第47回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開ガイドブック、週刊 古社名刹巡拝の旅42
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