大聖寺
だいしょうじ

大聖寺は、臨済宗の単立寺院で、京都尼五山のひとつに数えられる名刹です。皇室とのゆかりが深く、正親町天皇の皇女が入寺して以降、尼寺の筆頭寺院として栄えました。以来、光格天皇の皇女に至るまで、歴代の内親王が入寺し、住持を務めたことから、「御寺御所(おてらのごしょ/みでらごしょ)」とも呼ばれています。
境内は四季折々に美しい表情を見せますが、なかでも秋には萩の花が咲き誇り、「萩寺(はぎでら)」の名でも親しまれています。
寺内には、歴代皇女ゆかりの寺宝が数多く伝わっています。たとえば、洋装をまとった御所人形や、明治天皇が東京へ行幸する以前に用いていたと伝わる御椅子、源氏物語図屏風など皇室や門跡に関わる貴重な品々が大切に保存されています。
大聖寺が建つのは、かつて室町幕府第三代将軍・足利義満の邸宅「花の御所」の東南の一角にあたる場所です。
| 正式名称 | 岳松山 大聖寺(がくしょうざん だいしょうじ) |
|---|---|
| 山号 | 岳松山(がくしょうざん) |
| 宗派 | 臨済宗 |
| 本尊 | 釈迦如来 |
| 所在地 | 〒602-0023 京都府京都市上京区烏丸通今出川上る御所八幡町烏丸通今出川上る109 |
| 問い合わせ | 075-441-1006 |
| 拝観時期 | 通常非公開 |
| 見学時間の目安 | 30分 |
| 参拝順路 | 特に決められていません |
| アクセス | 市営地下鉄烏丸線「今出川駅」下車 2番出口すぐ |
| 駐車場 | なし |
| 駐車場料金 | - |
| ご利益 | - |
| 地図 | |
|---|---|
大聖寺の見どころ
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表門
おもてもん
大聖寺の表門。近年の修復により、往時の姿をよみがえらせています。

萩
はぎ
大聖寺は「萩寺(はぎでら)」の名でも親しまれ、秋には表門をくぐってすぐの築地塀沿いに、美しい萩の花が咲き誇ります。写真の奥に見える建物は、同志社大学の校舎です。

花乃御所碑
はなのごしょひ
「花乃御所」と刻まれた石碑です。かつてこの一帯には、室町幕府第三代将軍・足利義満の邸宅「花の御所」があったと伝えられています。

花山院慈薫尼歌碑
かさのいんじくんにかひ
大聖寺第27世門主・花山院慈薫尼(かさんのいんじくんに)の歌碑です。碑には「九品仏(くほんぶつ) 慈悲の眼の変らねば いづれの御手に 吾はすがらむ」と刻まれています。

本堂
ほんどう
本尊の釈迦如来像をはじめ、地蔵菩薩像や聖観音菩薩像が安置され、また歴代天皇の位牌も祀られています。本堂「貴人の間」には、「瑞鳥瑞花図(ずいちょうずいかず)」の壁画が描かれており、格調高い雰囲気を漂わせています。本堂は、東京の青山御所から1943年(昭和18年)に移築されたもので、大正天皇の皇后・貞明皇后(ていめいこうごう)の御殿として用いられていたと伝えられています。

庭園
ていえん
大聖寺庭園は、明正天皇の形見として下賜された河原御殿の樹木や石を用いて作庭されたものです。小石を敷き詰めた枯流れ(かれながれ)を中心に、反石橋やかんざし灯籠などを配した、御所風の枯山水庭園となっています。また、光格天皇から拝領したカキツバタ「雲井の鶴」や、光格天皇皇后が命名した白椿「玉兎(たまうさぎ)」など、由緒ある花々が四季を彩ります。1985年(昭和60年)に京都市指定名勝に登録されました。

書院(宮御殿)
しょいん(みやごでん)
書院は御所風の建物で、別名「宮御殿(みやごてん)」とも呼ばれています。1825年(文政8年)、光格天皇の皇女・普明浄院宮(ふみょうじょういんのみや)が住持を務めていた頃、京都御所より千両の拝領を受けて建立されました。内部には、絵師・望月玉川(もちづき ぎょくせん)による襖絵が残されており、「竹鶏図」「秋草に鹿図」「波に鶴図」などがあります。
大聖寺の歴史年表
| 1368年 (貞治7年) | 足利義満が日野宣子(ひの せんし/のぶこ)禅尼を室町第の岡松殿(おかまつどの)に迎えて、住まいとした。 |
|---|---|
| 1382年 (永徳2年) | 日野宣子禅尼没後、遺言に従って岡松殿を寺に改め、法名「大聖寺殿無相定円禅定尼(だいしょうじでんむそうじょうえんぜんじょうに)」にちなんで大聖寺とした。 |
| 16世紀後半 | 正親町天皇が大聖寺を尼寺第一位とする綸旨を下す。 |
| 1673年 (寛文13年) | 寛文大火により類焼する。 |
| 1697年 (元禄10年) | 聖護院の跡地となっていた現在地へ移転する。 |
| 1825年 (文政8年) | 京都御所より千両拝領して書院が建てられた。 |
| 1943年 (昭和18年) | 東京の青山御所から現在の本堂を移築する。 |
| 1985年 (昭和60年) | 庭園が京都市指定名勝となった。 |
大聖寺の年間行事
2月15日:涅槃会 - 本堂
5月5日:永皎流創流茶会(えいこうりゅうそうりゅうちゃかい) - 宮御殿
5月第2日曜:大聖寺文化講友会 - 宮御殿
旧暦8月15日:月見の宴 - 宮御殿
大聖寺の周辺情報
三時知恩寺(さんじちおんじ)まで徒歩5分
光照院(こうしょういん)まで徒歩8分
宝鏡寺(ほうきょうじ)まで徒歩13分
護王神社(ごおうじんじゃ)まで徒歩14分
幸神社(さいのかみのやしろ)まで徒歩15分
梨木神社(なしのきじんじゃ)まで徒歩20分
参考
京都大辞典、京都古社寺辞典、京都・山城 寺院神社大辞典、週刊 古社名刹巡拝の旅42、第61回 京都非公開文化財特別公開 拝観乃手引、第47回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開ガイドブック、京都の寺社505を歩く 上、
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[1] 匿名さん さん 投稿日: 2025-11-08 15:45:27
大聖寺の特別公開で訪れました。萩でも有名なんですね。中の写真は撮れませんでしたが、御朱印をもらって帰りました。普段見ることができないお寺さんです。