蹴鞠初め
けまりはじめ

蹴鞠初めは、毎年1月4日に下鴨神社で奉納される、古式ゆかしい神事です。水干(すいかん)姿に烏帽子を身に着けた蹴鞠保存会の人々が、平安の雅を今に伝える姿は、見る者を往時へと誘います。蹴鞠では勝敗を競うことはなく、鞠さばきの美しさや、互いを思いやる礼儀正しさが何よりも大切にされています。
蹴鞠は、6人または8人が円陣を組んで行われます。用いられる鞠は直径およそ20センチ、重さは約120グラム。表面には鹿の革が使われ、縫い合わせには馬の背筋の革が用いられています。内部には大麦の穀粒が詰められており、自然素材ならではの柔らかな感触が特徴です。
蹴鞠では、相手が受け取りやすいよう心を配って鞠を返すことが重視されます。中でも理想とされるのが「一段三足(いちだんさんそく)」と呼ばれる作法です。
一段三足とは、鞠を三度蹴って相手へ渡す一連の所作を指します。まず「受取鞠(うけとるまり)」で鞠を受け止め、「手分の鞠(てぶんのまり)」で姿勢を整え、最後に「渡す鞠(わたすまり)」によって、相手が無理なく受け取れるように鞠を送ります。そこには、技術だけでなく、相手を敬う心が込められています。
また、鞠を蹴る際には「アリ、ヤア、オウ」と声を掛け合います。これは鞠の受け渡しの合図であると同時に、夏安林(げあんりん)、春楊花(しゅんようか)、秋園(しゅうおん)に対応する鞠の精を表す言葉とも伝えられ、蹴鞠が自然や季節と深く結びついた文化であることを感じさせます。
下鴨神社蹴鞠初め2027の開催情報 | |
|---|---|
| 正式名称 | 蹴鞠初め |
| 日時 | 1月4日 13:30~ |
| 場所 | 下鴨神社 舞殿と神服殿の間に設けられた鞠庭:〒606-0807 京都府京都市左京区下鴨泉川町59 |
| 観覧 | 無料(有料拝観席3,000円 パンフレット付) |
| 問い合わせ | 075-781-0010 |
| 地図 | |
|---|---|
蹴鞠初めの見どころ
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鞠庭
まりにわ
蹴鞠を行う場所は鞠庭と呼ばれ、鞠場や鞠壺、鞠懸(まりかかり)とも称されます。鞠庭は、建物の南側に設けるのがよいとされています。庭の四方には、松・桜・柳・楓の四種の木を植えるのが基本とされ、これらは懸(かかり)、または四季を象徴することから式木(しきぼく)と呼ばれます。松は冬、桜は春、柳は夏、楓は秋を表しています。なお、式木のうち二本を松とした二本松や、四本すべてを松とする四本松の懸もあり、格式や場の性格に応じて、さまざまな形が用いられてきました。

枝鞠
えだまり
二股に分かれた木の枝に、鞠を紙縒(こより)で結びつけたものを指します。奉納鞠の場合には、神前や仏前に供えられます。用いられる枝は季節によって異なり、初春には松、七夕の頃には梶(かじ)、秋には紅葉した楓など、その時季を象徴する木が選ばれます。

解鞠
ときまり
枝鞠から鞠を切り離します。まず枝鞠は、役曹(やくそう)が受け取り、鞠庭の外に控えます。続いて、目代(めだい)と呼ばれる者が、その鞠を鞠庭の中央へと運び入れます。そして最後に、解役(ときやく)と呼ばれる役の者が、枝と鞠とを解き放ちます。

小鞠
こまり
鞠の試し蹴りを行う所作を指します。参加者は一人ずつ鞠を蹴り、その感触を確かめながら、順に鞠を回していきます。

蹴鞠
けまり
小鞠の所作を終えると、いよいよ蹴鞠が始まります。蹴鞠にはいくつかの定められた作法があります。足運びは、すり足で右・左・右と進む三拍子を基本とし、右足の親指の付け根で鞠を蹴ります。鞠はできるだけ地面に近い低い位置で蹴るのが理想とされ、足の他の部位や左足を用いることは許されていません。また、膝を曲げずに伸ばしたまま蹴ることも、大切な決まりの一つです。このような作法を守りながら、鞠を一段三足でつないでいくことが、蹴鞠の基本とされています。
蹴鞠初めの周辺情報
参考
下鴨神社公式ウェブサイト、蹴鞠(蹴鞠保存会)
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