高山寺
こうさんじ
高山寺は、鎌倉時代の僧侶・明恵(高弁)によって開かれた古刹で、日本における茶の栽培発祥の地としても知られています。境内は古くから紅葉の名所として名高く、美しい自然に囲まれています。
国宝である「鳥獣人物戯画」をはじめ、多くの貴重な寺宝を所蔵し、その文化的価値は国内外で高く評価されています。1994年(平成6年)には、世界文化遺産に登録されました。
正式名称 | 栂尾山 高山寺(こうさんじ) |
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山号 | 栂尾山(とがのおさん) |
宗派 | 真言宗系の単立寺院 |
本尊 | 釈迦如来 |
所在地 | 〒616-8295 京都府京都市右京区梅ケ畑栂尾町8 |
問い合わせ | 075-861-4204 |
参拝時間 | 8:30~17:00 |
拝観時期 | 一年中 |
参拝料金 | 石水院拝観料 一般1000円、小学生500円、障がい者・修学旅行生600円 ※秋期入山料500円 |
見学時間の目安 | 約60分 |
参拝順路 | 特に決められていません |
アクセス | JRバス「栂ノ尾」(高雄・京北線) 京都市バス「栂ノ尾」(8系統) |
駐車場 | 50台 |
駐車場料金 | ※11月のみ有料 |
ご利益 | - |
地図 | |
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高山寺の見どころ
まず注目すべきは石水院です。鎌倉時代に建立され、高山寺で唯一現存する当時の建物として国宝に指定されています。その寝殿造風の美しい建築様式が見どころで、内部には国宝「鳥獣人物戯画」のレプリカが展示されています。この絵巻物は、擬人化された動物たちが生き生きと描かれ、日本の風刺画や漫画の原点とされる貴重な作品です。
また、高山寺は紅葉の名所としても知られています。秋になると、境内全体が鮮やかな紅葉で彩られ、訪れる人々を魅了します。参道や庭園を散策しながら、四季折々の美しい自然を堪能できるのが大きな魅力です。ただし、秋の紅葉シーズンは多くの観光客で非常に混雑するため、訪れる際には注意が必要です。そのシーズンを避ければ、ほとんど観光客がいないため、静けさの中で自然の美しさをじっくりと楽しむことができます。→ 高山寺の紅葉
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表参道
おもてさんどう
表参道には、正方形の石敷きが17枚連なっています。
裏参道
うらさんどう
裏手の駐車場やバス停から境内に入る道で、多くの観光客が表参道ではなく、裏参道を通って中に入ります。
石水院
せきすいいん
五所堂とも呼ばれます。鎌倉時代の寝殿造風の遺構で、もとは東経蔵でした。前面には春日・住吉の両神が祀られ、後方は顕密の経蔵として使用されていました。板間には善財童子像が安置されています。国宝に指定されています。
→ さらに詳しく
鳥獣人物戯画
ちょうじゅうじんぶつぎが
甲乙丙丁の4巻からなる絵巻で、水墨画で描かれています。兎、蛙、猿などの動物を擬人化した絵で知られています。鳥羽僧正覚猷(かくゆう)が描いたと伝えられてきましたが、近年では巻ごとに画風が異なることから、複数の人物によって描かれたと考えられています。
明恵上人樹上坐禅像
みょうえしょうにんじゅじょうざぜんぞう
「明恵上人樹上坐禅像」は、明恵が「縄床樹」と名付けた一本の松に座禅を組む姿を描いた作品です。恵日坊成忍(えにちぼう じょうにん)の筆とされており、国宝に指定されています。作品の大きさは、縦145㎝、横59㎝です。
開山堂
かいざんどう
明恵が晩年を過ごした禅堂院の跡地に立つ建物で、明恵上人坐像が安置されています。現在の建物は江戸時代に再建されたものです。
明恵上人御廟
みょうえしょうにんごびょう
明恵の墓で、覆屋の中に古い五輪塔が収められています。
金堂
こんどう
仁和寺真光院から御堂を移築した建物で、本尊として釈迦如来像が安置されています。
春日明神社
かすがみょうじんしゃ
仏足石
ぶっそくせき
釈迦の足跡をかたどり、礼拝の対象としたものです。境内には「仏足石参道」の石碑が2基あり、信仰を集めたことで知られています。
収蔵庫
しゅうぞうこ
コンクリート造の3階建てで、聖教(しょうぎょう)、典籍、古文書類のほぼ全てが収められています。
遺香庵
いこうあん
1931年(昭和6年)、当時の住職・土宜覚了によって建立された茶室。通常は非公開です。茶祖・明恵上人の茶恩に報い、その遺香を後世に伝えることを目的として、高橋箒庵(そうあん)をはじめとする全国の茶道家100人の篤志により完成しました。数寄屋大工は3代目木村清兵衛、作庭は小川治兵衛によるもので、京都市指定名勝に指定されています。
茶園
ちゃえん
日本最古の茶園で、栄西が宋から持ち帰った茶の実を植えて育てたものです。その茶の木は後に宇治に移植され、全国に広まりました。5月中旬には茶摘みが行われます。
間雲亭(吾妻屋)
かんうんてい(あずまや)
吾妻屋は、庭や公園などに設けられる、柱と屋根だけの休息所のことです。
高山寺の歴史年表
774年 (宝亀5年) | 光仁天皇の勅願により、華厳宗の寺院として開創。当初は、神願寺都賀尾坊(しんがんじとがのおぼう)と称した。 |
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1206年 (建永元年) | 明恵が後鳥羽上皇よりその寺域を賜り、名を高山寺として再興。 |
1219年 (承久元年) | 金堂に本尊が安置される。 |
1228年 (安貞2年) | 洪水で、東経蔵の谷向いにあった石水院が失われる。 |
1235年 (嘉禎元年) | 石水院に白光神、善妙神、春日神を祀る。 |
1238年 (嘉禎4年) | 石水院に住吉神を勧請し、鎮守社四社を祀り、石水院が拝殿となる。 |
1547年 (天文16年) | 細川勝元の兵火によって伽藍のほとんどを焼失。 |
1634年 (寛永11年) | 仁和寺真光院から御堂を移築して、金堂を復興。 |
1872年 (明治5年) | 真言宗所轄となる。 |
1889年 (明治22年) | 石水院が旧三尊院跡の現在地へ移築され、住宅様式に改変された。 |
1966年 (昭和41年) | 文部省に寺域を史跡に指定され、単立寺院になる。 |
1994年 (平成6年) | 世界文化遺産に登録。 |
1995年 (平成7年) | 遺香庵庭園が京都市指定名勝に指定。 |
高山寺の年間行事
1月1日:新年法要(修正会) - 金堂・書院仏間
1月8日:明恵上人生誕会 - 開山堂
1月19日:明恵上人命日忌法要 - 開山堂
2月15日:釈迦涅槃会 - 金堂
彼岸中日:春季彼岸会 - 墓地・書院仏間
4月8日:釈迦誕生会(仏生会) - 石水院
5月中旬:茶摘み - 茶園
8月15日:盂蘭盆会 - 開山堂・書院仏間
8月15日:施餓鬼会 - 書院施餓鬼柵
彼岸中日:秋季彼岸会 - 墓地・書院仏間
11月8日:献茶式 - 開山堂
高山寺の周辺情報
西明寺まで徒歩12分
神護寺まで徒歩15分
平岡八幡宮まで徒歩40分
参考
高山寺公式ウェブサイト、京都大辞典、京都古社寺辞典、古寺巡礼 京都32 高山寺