白朮詣(をけら詣り)

をけらまいり

白朮詣(をけら詣り)

八坂神社の「をけら詣り(おけら詣り)」は、毎年12月31日の夜から元日の早朝にかけて行われる、年越しの伝統行事です。例年、31日19時頃に始まり、翌1日5時頃まで境内には多くの参拝者が訪れます。かつては、境内で授けられる「をけら火」を火縄(吉兆縄)に移し、火が消えぬようくるくると回しながら自宅へ持ち帰りました。そして、その火を新年の雑煮を炊く釜の火種や神棚の灯明に用い、一年の無病息災を祈願したと伝えられています。現在では、火を消した火縄を火伏せのお守りとして台所などに飾り、家内安全を願う習わしとなっています。

この御神火は、12月28日午前4時に執り行われる鑽火式(きりびしき)において、古式にのっとり、火鑽臼(ひきりうす)と火鑽杵(ひきりぎね)を用いて切り出されます。こうして生み出された火は、31日の除夜祭において削掛の木に移され、さらにをけら灯籠へと受け継がれたのち、参拝者に火縄(吉兆縄)として授けられます。

「をけら」とは、漢方薬にも用いられるキク科の植物で、漢字では「白朮」と記されます。御神火には護摩木とともにをけらが焚かれ、その際に立ちのぼる独特の強い香りには、邪気を祓う力があると古くから信じられてきました。

正式名称をけら詣り(おけら詣り)
日時12月31日 19:00~1月1日 5:00頃
場所八坂神社:〒605-0073 京都府京都市東山区祇園町北側625
観覧無料
問い合わせ075-561-6155
地図

白朮詣(をけら詣り)の見どころ

見どころは、御神火ををけら灯籠へと移す場面です。また、参拝者が火縄にをけら火を移し、くるくると回しながら火を守る姿も、年の瀬の京都らしい光景です。昔は、火を移した火縄を持ったまま電車に乗ることもできたそうですが、現在はできません。帰り道でも、商店などに立ち寄ることは控えるよう案内されており、境内には火を消すためのバケツが用意されています。なお、境内では火縄を回している人が多いため、うっかり触れてしまいそうになる場面もあります。思った以上に混み合うので、周囲には気を配ったほうがいいですね。


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八坂神社の御神火の入った箱
御神火の入った箱
ごしんかのはいったはこ

箱の中には、御神火を灯したろうそくが納められています。

をけら詣り をけら灯籠に御神火を灯す様子
をけら灯籠に御神火を灯す様子
をけらとうろうにごしんかをともすようす

19時より本殿で除夜祭が斎行されたのち、宮司が御神火を納めた箱を携え、境内三か所に吊るされた「をけら灯籠」へと向かいます。そこで御神火が点火されます。をけら灯籠の中には、あらかじめ護摩木(ごまぎ)とをけらが納められており、御神火によってそれらが焚かれることで、独特の強い香りが立ちのぼります。この香りには邪気を祓う力があるとされています。

をけら詣り をけら火を火縄に移す様子
をけら火を火縄に移す様子
をけらひをひなわにうつすようす

参拝者は、火縄(吉兆縄)ををけら火にかざして御神火を移し、火が消えないよう、静かに回しながら持ち帰ります。

八坂神社の火縄(吉兆縄)
火縄(吉兆縄)
ひなわ(きっちょうなわ)

火縄は竹の繊維で作られており、古くは火縄銃の着火にも用いられていました。

参考

八坂神社公式ウェブサイト、京都大辞典

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