大原野神社

おおはらのじんじゃ

大原野神社

平安遷都以来、皇城鎮護の社として崇敬を集めてきた由緒ある神社です。古くは、藤原氏の血を引く皇族や貴族たちが参拝したと伝えられています。全国に約三千社ある春日神社のうち、最初に創建された分社として知られています。

創建は784年(延暦3年)にさかのぼります。平城京から長岡京へ都が移された際、桓武天皇の皇后・藤原乙牟漏(ふじわら の おとむろ)が、藤原氏の氏神である奈良・春日大社への参詣が不便になったことから、その御祭神をこの地に分霊として勧請したのがはじまりです。この由緒により、「京春日(きょうかすが)」の名でも親しまれています。

境内は四季折々の風情に包まれ、春には桜、秋には紅葉が美しく、多くの参拝者や観光客で賑わいます。かつては、春日大社から贈られた鹿を飼育していた「神鹿苑(しんろくえん)」も設けられていましたが、現在は閉鎖されています。

正式名称大原野神社
祭神建御賀豆智命(たけみかづちのみこと)、伊波比主命(いわいぬしのみこと)、天之子八根命(あめのこやねのみこと)、比賣大神(ひめおおかみ)
所在地〒610-1153 京都府京都市西京区大原野南春日町1152
問い合わせ075-331-0014
開閉門時間8:30~17:00
拝観時期一年中
参拝料金無料
見学時間の目安30分
参拝順路特になし
アクセス京都市バス「南春日町」(西9系統)下車徒歩7分、阪急バス「南春日町」下車徒歩7分
駐車場あり(40台)
駐車場料金普通車 20分無料、以後30分200円(4時間最大600円繰り返し)
※正月、桜の時季、紅葉の時季は特別料金期間(30分200円、4時間最大600円繰り返し)
ご利益良縁成就、縁結び、家内安全
地図

大原野神社の見どころ


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一の鳥居
一の鳥居
いちのとりい

かつて一の鳥居は、この地から東南へ徒歩約10分の場所に建っていました。しかし、周辺の交通量が増加し、安全面への配慮から撤去されることとなり、1969年(昭和44年)12月に現在の石段下へと移築されました。

二の鳥居
二の鳥居
にのとりい

神鹿像
神鹿像
しんろくぞう

中門の前には狛犬の代わりに、雌雄の神鹿像が安置されています。境内には、この中門前の像に加えて手水舎前の1体を含め、合計で3体の神鹿像が点在しています。

中門
中門
ちゅうもん

こちらは中門です。左右の両翼から伸びる回廊が幣殿・本殿を取り囲みます。

幣殿
幣殿
へいでん

こちらは幣殿です。中門の両翼から伸びる回廊に囲まれ、本殿の前に位置しています。神事の際には、幣帛(へいはく)が献じられる神聖な場所です。

本殿
本殿
ほんでん

本殿は、奈良の春日大社本殿とほぼ同じ構造をもつ「春日造」と呼ばれる建築様式で建てられています。左側を第一殿とし、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根をもつ一間社(いっけんしゃ)の四殿が並び立ちます。第一殿には建御賀豆智命(たけみかづちのみこと)、第二殿には伊波比主命(いわいぬしのみこと)、第三殿には天之子八根命(あめのこやねのみこと)、第四殿には比賣大神(ひめおおかみ)がそれぞれ祀られています。現在の本殿は、1649年(慶安2年)に後水尾上皇の御代に造営されたものと伝えられています。

瀬和井
瀬和井
せがい

瀬和井は、清和天皇の産湯に用いられたと伝えられる清らかな湧水です。古くからその名水は人々に親しまれ、多くの歌人にも詠まれてきました。万葉集で知られる大伴家持は、「大原や瀬和井の水を手にむすび 鳥は鳴くとも遊びてゆかん」と詠みました。さらに、平安時代の公卿・大江匡房(おおえ の まさふさ)も、「夜を寒み せがいの水は氷るとも 庭燎(にわひ)は春のここちこそすれ」と歌に詠みました。

鯉沢池
鯉沢池
こいさわのいけ

鯉沢池は、表参道の中ほど東側に位置する池です。奈良・興福寺の南側にある猿沢池(さるさわのいけ)を模して造られたと伝えられています。池は瀬和井と同じ水系にあり、5月にはカキツバタ、6月から8月にかけては睡蓮が咲き、四季折々の風情を楽しむことができます。池には橋が架けられ、中島には地主社が祀られています。

地主社
地主社
じぬししゃ

鯉沢池の中島に建つ小さな祠です。毎年11月16日には、地主社祭が執り行われます。

千眼桜
千眼桜
せんがんざくら

鯉沢池の北側に植えられた枝垂れ桜です。その名は、1本の枝に千もの花が咲くと伝えられるほど花芽が多いことに由来します。満開の期間が短いため、「幻の桜」とも呼ばれています。

若宮社
若宮社
わかみやしゃ

鯉沢池の東側に建つ摂社です。祭神として天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)が祀られています。

春日乃茶屋
春日乃茶屋
かすがのちゃや

鯉沢池の南側にあるお茶所です。よもぎ餅とよもぎ茶のセットが頂けます。

茶室「翠嘯庵」
茶室「翠嘯庵」
ちゃしつ「すいしょうあん」

社務所の北東に位置する二畳台目の茶室です。篤志家から贈られた茶室を復元したもので、毎年5月3日に行われる献茶祭の際に公開されます。

大原野神社の歴史年表

784年
(延暦3年)
長岡京遷都にあたり、桓武天皇の皇后・藤原乙牟漏(ふじわら の おとむろ)が春日大社の神霊を勧請したのに始まる。
850年
(嘉祥3年)
藤原冬嗣(ふじわら の ふゆつぐ)の孫にあたる文徳天皇がこの地に社殿を建て、王城鎮護の神として祀った。
1005年
(寛弘2年)
一条天皇の中宮・彰子の行啓があり、その際、父の藤原道長や紫式部も供奉(ぐぶ)している。
1649年
(慶安2年 )
後水尾天皇によって春日造の本殿が再建される。応仁の乱以降、途絶えていた祭礼が復興。

大原野神社の年間行事

1月1日:歳旦祭

1月22日:御弓祭

2月節分の日:節分祭

2月17日:祈年祭

4月8日:例祭

4月15日:若宮社例祭

5月3日:献茶祭 - 本殿

6月30日:大祓式・茅の輪神事

7月1日、2日:御滝祭

9月第二日曜日:御田刈祭・奉納相撲神事

11月16日:地主社祭

11月23日:新嘗祭

12月31日:大祓式・除夜祭

大原野神社の周辺情報

参考

大原野神社公式ウェブサイト、京都大辞典、京都大知典、週刊 古社名刹 巡拝の旅47、週刊 神社紀行21

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